ワシントン・ポストがペンタゴン・ペーパーズをネタ元にした歴史的スクープを報道する裏側を描いた映画。
編集長ベン・ブラッドリー役 トム・ハンクス
1970年代のパソコンも携帯もない、タイプライターと電話とタバコの煙のワシトン・ポストの編集局を再現したのが、さすがハリウッドだけある。
当時の新聞がどのように作られていたのかもわかって、記事原稿の一文字一文字を印刷版に作って、輪転機で印刷するという現代と違ってなんと手間のかかっていたことか。
映画撮影開始が2017年5月で、トランプ大統領就任が1月。
特典映像を見ると、脚本を読んで権利を獲得してキャスティングまで急ピッチで進んだことがわかり、トランプに対する危機感の表れかと。
メリル・ストリープがゴールデングローブ賞でトランプに対してまっとうなことを言って感動的なスピーチしてたし、トム・ハンクスはホワイトハウス記者団にエスプレッソマシン差し入れしていたし、メリルはヒラリー支持者で(そのヒラリーもエプスタインに関係して怪しさ満載だけど)、民主党支持者が多いハリウッドからの報道や表現の自由、人種や女性差別に対する反対の声を上げたのは、他国ながら羨ましい。
太平洋戦争時に無茶な戦争に軍部と政府が国民を犠牲にしてまで突っ込んでいく日本と同じようなことをアメリカもベトナム戦争でやっていたとは・・・ちょっとショック。
民主主義が一番根付いている国だと思っていたから。
どの国でも結局、権力者が考えることは同じなんだな。
あいつら国民はバカだから何も知らせなくていいっしょ。
むしろ下手に事実を事実として知らせたら、バカなことを言いだして自分たち政府にタテつくから、事実を隠蔽して教えない方が都合がいいよね~
そして国民が無知でいてくれたら、自分たちの思い通り国を動かせるし、自分たちの利益になるから、ヒッヤッハァー!
ってな三段論法的な権力者たちの本音が聞こえてきそうだわ。
東京新聞の望月記者の菅官房長官に対する質問の仕方をすべて肯定はできないけど、あの官邸記者たちの中で厳しい質問をするのが望月記者だけって・・・
他の男性記者たちはどこまでヘタレなの?
会社での自分の立場とか出世とか、家族養うための給料とか、いろいろあるだろうけど、あの場で望月記者を誰も援護しないのが・・・なんか嫌な感じ。
秋篠宮家皇嗣太夫に「佳子様は普段何をされているのですか?」と質問した複数の女性記者がいたニュースを見て、
「みんなが素朴に疑問に思うことをストレートに聞くなんて、やるじゃん!」
これがマスコミの役目、報道でありジャーナリズムじゃなかろうか。
それを若手の女性記者がやっているって、男性記者たちは情けなくないのかね?
ランド研究所からペンタゴン・ペーパーズを持ち出したエルズバーグがいなければ、このスクープは生まれなかったわけで、その後の報道の自由もどうなっていたことか。
森友、加計、財務省の問題もエルズバーグみたいな人がいればなぁ。。。
映画の中でキャサリンがドアを開けると男性ばかりの世界に不安いっぱいで入っていくシーンがあって、ラストの最高裁判所前の階段を女性たちの前を歩く自信に溢れたキャサリンとのコントラストがお見事!
権力を男性だけが持っていると、ロクなことがない。
世の中は、世界は、男性だけでも女性ばかりでもなく、多種多様であるのだから意思決定の場もそれに近づくようになって欲しい。
日本は遅れている。
女性活躍と言いながら、ちっとも進んでいない。
宝の持ち腐れというか、どれほど国が発展する機会を損失しているのか気づかないおっさんばかり。
おっさんは変わらないから、日本の将来は没落の一途をひたすら走っているよね。